看護業務

脳外科で働きたい看護師へ【きつい内容5つ】

こんにちは、たかひろです。

脳外科に行こうか迷っている看護師
「脳外科に行こうか迷ってるの。脳外科はきついとかくさいとか聞くけど、本当にきついの?」

こういった疑問に答えます。




✔本記事の内容

・脳外科のきつい内容5つ
・脳外科で働くメリットも大きい
・興味があるのなら脳外科を経験することをおすすめします

この記事を書いている僕は、現在看護師8年目です。
新卒から4年間、脳外科病棟・SCUで勤務しておりました。
現在はICUで循環器をメインにしています。


こういった背景を持つ僕が今回は、違う部署・科を経験したからこそ見えてきた「脳外科特有のきつさ」について話していきます。
脳外科で働こうか悩んでいる人にとって参考になるのではないかと思います。

脳外科のつらい内容5つ

つらい内容5つ発表します。


①脳外科は体力勝負
②病棟は常にう〇こくさい
③ケアが多いのでタイムマネジメント超必須
④暴力患者の対応がわりと多い
⑤転倒転落、離棟との勝負



順に解説していきます。

脳外科は体力勝負

脳外科で1番つらいことは体力をかなり必要とするということ。
理由は、脳外科はADL全介助の患者さんが多く、患者さんを移動する機会が多いからです。


たとえば、清拭だったり、おむつ交換、体位変換、離床、移乗などです。
これらのケアを腕の力だけでやろうとすると必ず腰を痛めます。


なので、しっかりとボディメカニクスを学び、実践できるようにすることが大切です。
ある意味で、1年目脳外科看護師の課題でもあります。

病棟は常にう〇こくさい

「う〇こ」とはみなさんもお気づきの「あれ」です。


病棟は常にこのにおいが充満しています。
脳外科の患者さんはオムツ内失禁の患者さんが多いですからね・・・。


「常にくさい」は言い過ぎました。でも、におう時間帯というものは決まっています。
それはどんな時かというと、体位変換の時間です。


2~3時間ごとに、一斉に体位変換にまわります。このときに複数の患者さんが便失禁していると、病棟中がう〇このにおいで充満します。
さらにシーツまで便汚染されているときには1時間は臭くなります
(もちろん換気は全開でしていますよ!)


僕がいた病棟は、脳外科の廊下がアンギオ室までへの通路になっていたため、通るスタッフはみんなマスクをきちんと付け直していましたね(^_^;)


でも、働いているこちらとしてはほとんど臭いは気になりません。
良いのか悪いのか・・・笑

ケアが多いのでタイムマネジメント超必須

脳外科はADL全介助の患者さんが多いです。
たとえば、寝たきりの患者さんであれば以下の内容をやります。

・全身清拭
・経管栄養投与前の口腔ケア
・経管栄養・内服薬投与
・顔ふき、ひげそり、胃管固定テープの貼り直し
・2-3時間ごとのおむつ交換

あとは患者さんによりますが、食事介助が必要な患者さんがいれば食事介助。あとは看護師サイドでのリハビリがあります。


このレベルの患者さんを6人以上受け持つので、順序立てて時間通りにやらないと絶対に終わりません。


午後の家族面会までにはなるべく患者さんをきれいにしておきたいですし、髭ボーボー、固定テープが汚いまま次の勤務者に送ると白い目で見られます。


もちろん途中で他の業務も舞い込んでくるので、途中でプランを修正する能力も必要になってきます。時計は必須アイテムです。

暴力患者の対応がわりと多い

「暴力患者」という表記をしましたが、患者さんは決して、もともと暴力的であったというわけではありません。
脳卒中後の高次脳機能障害のため、感情のコントロールや見当識に障害が出てしまうのです。


実際にあった例としては、40代の男性、クモ膜下出血後で高次脳機能障害が残り怒りやすくなってしまいました。


四肢麻痺もなく力もあるので怒ると看護師を殴る蹴る唾を吐くとひどいのなんの・・・
セレネース、ホリゾン連発しながら転院までこらえたことがありました。


おじいちゃん、おばあちゃんが暴力的になってもさほど痛くないので別に良いのですが、若い男性だと力も強いし走れるからかなり苦労するんですよね。いや、苦労ではなくもはや恐怖です。


あ、ちなみにおじいちゃんおばあちゃんは怒るとたいてい噛みつきます笑

転倒転落、離棟との勝負

インシデントで一番多いのは転倒転落だと思います。
転倒転落が一番多いとわかっているのになぜ起こるのか?
転倒転落する患者さんには傾向がありました。

・麻痺が回復してきており、自身でもぞもぞ動いてベッド転落(意思疎通はできない患者さん)
・「トイレが終わったら必ずナースコールを押すように」と説明したが、用を足したあと、ナースコールを押さずに転倒。ナースコールを押さなかった理由は「自分でできると思った」から

上記のように「予測しにくい」ケースです。


ちなみに、離棟はそれほど多くないです。でも忘れた頃に起こります。
離棟は先ほどの高次脳機能障害と関係しており、現状把握困難のため歩いて病棟から離れてしまうということがあります。


靴に鈴をつけたり、背中に名前と入院している病院名を書いたテープを貼って対応していました。

脳外科に行こうか迷っている看護師
「なんだか結構つらそうね・・・。そんなに大変ならやっぱり脳外科はやめようかな・・・。」

脳外科で働くメリットもある

もちろんつらいことだけではありません。
脳外科で働くメリットを挙げます。


①難しい脳の解剖も覚えることができる
②患者さんの「できない」を「できる」にする楽しさがある
③退院調整の勉強もできる



これも順に話していきます。

難しい脳の解剖も覚えることができる

脳の解剖は複雑で覚えるのは大変です。
実際に脳外科未経験者は、脳外科をかなり敬遠します。
未経験者からするとかなりとっつきにくい分野だそうです。


そういう分野を得意にすることで、あなたの強みになります。

患者さんの「できない」を「できる」にする楽しさがある

脳外科の楽しさといえばこれです!
「自分のことを自分でできない患者さん」が多いため、何かができるようになる、ということに喜びを覚えます。


たとえば

・昨日よりもベッドアップができた
・端座位の保持ができるようになった
・嚥下訓練によりゼリーを飲み込めた
・意思を表出できた

本当に小さいことかもしれません。
けど、この「できない」を「できる」ようにするために、かなりの時間がかかります。


脳外科以外の術後患者さんが「できない」を「できる」にし、ADLを取り戻していく過程も良いです。
でも、脳外科の患者さんがADLを取り戻せるようになるのは、それとは少し違います。


「障害」「後遺症」をスタッフとともに毎日の努力継続で取り戻す。
こういう地道な介入があるからこそ、小さな変化もかなり嬉しいものです。


患者さんができるようになった姿。それを見た家族の反応を見ることもやりがいにつながります。

退院調整の勉強もできる

急性期を脱した患者さんのその後は、おもに自宅退院、回復期リハビリ病院への転院、療養型病院への転院の3つです。


実はこの3つのどこになりそうかの予測は入院時から始まっています。一番良いのはもちろん自宅退院です。でも、機能障害により自宅退院が難しければ回復期リハビリ病院への転院となります。
ですが、回復期リハビリ病院への転院には「発症から2ヶ月以内」という条件があります。


たとえば、脳卒中でSCUに患者さんが入ったとします。この方の入院の流れとしては


・超急性期を脱するまでに約2週間
・急性期の治療をしつつリハビリで1週間


転院条件の2ヶ月まで、まだ1ヶ月弱猶予があります。
ふつうに間に合うじゃん!!」と思いますよね?


とんでもない!!


あくまで患者さんだけなら余裕で間に合います。でも、転院するためには家族や転院先病院の都合も関わってくるのです。


以下は転院調整の流れです。
※SWはソーシャルワーカー

家族とSWの面談
(家庭状況、転院先地域の家族の希望、お金の心配など)

SWの提示のもと、家族が希望病院を複数決める

希望病院へ患者さんの現在の情報提供書を提出

書類審査にかけられる
(患者さんの状況によっては断られる)

書類審査が通れば、転院先予定病院と家族が面談

転院可能と決定

転院先のベッドの空き状況と待機日数の確認

僕たちで言う、就職活動のようなものですね(^_^;)


この過程をなるべく入院早期から行います。
でも、実際に家族がソーシャルワーカーと面談して転院先を決めるのは入院2-3週間目くらいです。
状態がある程度安定して方向性が決まらないと、転院の話も進めることができないので。


その都度すんなり決まれば良いですが、家庭事情などで揉めるケースもあります。
なので、回復期リハビリ病院まで2ヶ月猶予があるとは言え、もたもたしていると患者さんが機会を失うことになります。


転院調整をスムーズにするために、脳外科看護師がやることは以下です。

・入院早期から患者さんの家族背景を確認しておく
(本人のもともとのADL、家の状況、同居者、協力が得られる家族はだれか、他に自宅で介護を受けている人がいるか、金銭面の不安の有無)
・以上の情報をソーシャルワーカーにすぐに渡せるようにしておく
・患者さんそれぞれの転院調整の進行具合を把握しておく

以上のように、脳外科看護師は転院調整がスムーズに運ぶためも、リハビリスタッフやソーシャルワーカーともコミュニケーションを欠かせません。


患者さんの入院から退院までの一連の流れを学ぶことができますし、地域との連携や制度もある程度知ることができます。

脳外科に興味あるならやってみる価値あり

つらいことも多いけど、他科では経験できないこともたくさんあります!


興味があればぜひやってみることをおすすめします(^O^)

今回の記事は以上です。

Follow me!

-看護業務

© 2023 鈍看(どんかん)日記 Powered by AFFINGER5